| ●キーボーの寝言。(サン・ペドロ・デ・アタカマ)
「もう起きるぞ〜!!よし、起きる!!」
まだ布団に入ってから、それほどもたっていない夜中のこと。
が突然に大きな声で言った。
身体ももぞもぞ動かしている。
決してお尻を書いているわけではなさそうだ。
もちろん夜中だから、窓の外も真っ暗である。
音も特にしない静かな夜・・・。
(???)
「なに?なんで起きるの?」
「・・・。」
「どうしたの?」
「寝ぼけてた・・・。」
そして、もう寝ている。
全く人騒がせ。
つい2日前のバス車内でのこと。
「お兄ちゃん、やめてよ〜。」
(う〜む、このことには触れないほうが良さそうだ・・・。)
つい3日ほど前のこと。
突然に話し始める。何を話しているかは良く分からないが・・・
「3,000ペソ(約650円)でいいよ!!」
だけは分かった。一体どんな夢だか気になる(笑)。
そうしていつもいろんなことを話している。
かなり面白い!!
「寝言とは会話をしてはいけない。それは彼岸の国の言葉。」
●町散策。白い渓谷を発見!!(サン・ペドロ・デ・アタカマ)
「散歩して、写真でも撮りに行こうよ。今の時間帯は空が青くてきれいだよ!!」
「じゃ、行くかぁ〜!!」
アタカマの町は小さい。
泥で作られた壁や塀が多い。その様子は中東などの砂漠地帯と共通するものだ。とても懐しい雰囲気で、どこかに戻ってきた気がする。地域に寄っては、泥と糞を混ぜたりもするが、ここはどうなのだろう。いずれにしろ、雨が少ないからこそできる建築方法だ。
教会や広場周辺を回り、あっという間に中心地から離れる。
「どっち行く?」
「どうせなら町の外まで?」
歩くに従い、鄙びた感じになってくる。
家の数も減り、そしてついに町の外に出た。
正面には富士山のような、きれいな姿をした山がドーンと構えている。
その右には、更に奥に見える山脈が連なっているのが見える。左奥には、雪を被った白い山々が見渡せる。人気のない、自然だけの雄大な風景だ。とても乾燥し、こんな場所に人が住んでいることすら不思議になる。
「こんな場所には住めないよ。」
「オレも住みたくないな〜。」
そうして荒野を歩いていると、乾ききった草が横に続いているのが見えた。
「あそこ、なんだろう?水?」
きれいな水が流れていた。用水路だろう。
水の流れる周辺にだけ草木がある。それは水こそが生命の源なんだなと改めて感じさせる光景だ。
きれいな水で足を入れると、ひんやりと気持ちよい。雪解け水だろうか。どこかの湖からひいているのだろうか。
水を上流に上る。
いったいどこから水は流れてくるのだろう。
「あの白い砂山みたいのなんだろう?」
「緑色っぽくない?」
「確かに。行ってみよう。」
そうして水に沿って上流に向かう。
水は別の大きな用水路から枝分かれした支流だった。
この水がアタカマの町の水道に使われているのだろうか。
宿のトイレにも「水は大切に。アタカマには水があまりありません。」的な表示がされている。そう思うと、これらの水も間違いなく大切に使われているはずだ。
「臭い・・・。硫黄臭い。」
「風で臭いが来るね。」
「温泉があるのかな。」
「硫黄取りも産業かな。」
緑がかって見えた砂山は、硫黄を含んだ砂山だった。
※地面に落ちている塩の結晶。
そして、その周辺には白い大地が広がっている。
塩というわけでもない。なんだろう。
「白の渓谷だね。」
「写真の撮り方によってはきれいになるでしょ!!」
「白の渓谷発見!!」
帰り道はなぜか現地のおじいさんの荷物を背負ってあげて、町まで戻った。
「どうもありがとう!!」
そう言われたのがとても嬉しい。
●町周辺をハードに散策。(サン・ペドロ・デ・アタカマ)
「キーボー散歩行こうぜ!!」
「う〜ん。・・・行くか!!」
2人で昨日と同じ方向に向かって歩き出す。
相変わらずすぐに町を出てしまい、昨日とは違った方向を目指す。
「あのさ〜、昨日と違う方向から行こうよ。」
「じゃ、お墓の方から・・・。」
そうして歩いていると、左手の丘の向こうの方に砂丘が見えてきた。
「あそこさ、行ってみない?」
「遠いよ〜。まじで〜!?」
「いいよ。行けるとこまでだけ行って、無理なら帰ってこようよ。」
「じゃ、時間決めるか。」
そうして進路を変えたのだが、それは険しい道のりだった。
まず、道がない。でもとにかく進む。
用水路や畑など、アタカマの乾燥したイメージとは違う風景が出てくる。
町の周辺には、幾分だけ低い土地があり、それらはトウモロコシ畑などが一面を覆っている。乾燥した茶色の大地に広がる緑はとても美しい。
そして、ついに崖に辿り着く。
「ああぁ〜!!
砂のように一歩一歩踏み出す足元が崩れ落ちる。
その急な崖が結構高いので危険もある。
ガラガラ、ガラーッ!
後ろで石が転がる音がする。振り向くとキーボーが足を滑らせている。
「まじで慎重に上ろう!!」
「大丈夫だよ〜。」
「でも、ここ、本当に危ないね。何やってるんだろうね。」
少し高地でもあり、すぐに息が荒くなってしまう。アタカマに到着してすぐだったら、こんなトレッキング(?)はきつかっただろう。
「おお〜!!」
後ろを振り向くと乾燥した大地が広がっている。
その乾燥した茶色い一面の広い大地の中に、きれいな緑色のアタカマの町が浮かんでいる。
「アタカマって本当にオアシスなんだね。」
「うん。こうして見ると、本当にきれいだね。」
上に登りきると、石がゴロゴロと転がる起伏ある丘の上だった。
目的とする砂丘はさらに別の丘の向こうに見える。
そんな風にとにかく頑張って歩く。
「おお〜!!」
「凄いじゃん!!歩いてきて良かったよ!!」
目の前には月の谷が広がっていた。実際にそこが月の谷だと知ったのは、町に戻ってからだ。前日にアタカマに到着していたエミさんに教えてもらったのだ(笑)。
その時は、単に侵食によって削り取られた泥や砂の丘がうねっている様子を見て、単純にきれいだと思った。手前には塩の白い地面や、緑色の小さな沼も広がっている。
キーボーとワイワイ興奮して写真を撮った。
残念なのかラッキーだったのか、かなり苦労して、丘を越え、畑を通り抜け、谷を歩いたのは無駄だった・・・。帰りは車道を歩いて戻ったのだが、いたって簡単に、行きの1/3ほどの時間で町に戻れた。
「ちゃんと地図を見て、計画して行けば良かったね。」
「うん。・・・その通りだね。」
●ウユニ塩湖ツアーを探す。(サン・ペドロ・デ・アタカマ)
アタカマからボリビアを目指す。
現実的な選択肢は2つある。
1つは、チリのカラマまで戻ってオンボロの路線バスで、国境を越えて一気にボリビアのウユニまで行く方法。
もう1つは、ツアーに参加して、ウユニ塩湖や周辺の勝景地を回りながら2泊3日をかけてウユニの町を目指す方法。
戻るのは好きではないし、オンボロのバスもなるべくなら乗りたくない。
値段的にも、結局はウユニの町からツアーでウユニ塩湖などを回ることになるので大きな違いはない。そう考えると選択はツアーでということになる。
唯一の懸念点は高山病だ。
かつて西チベットで入院してしまったこともあり、なるべく慎重に行きたい。そう考えて、比較的標高の高いアタカマでのんびり過ごした。安全策をとっているとは思うのだが、それでもチベットの時だって事前に標高の高い場所で数日過ごしていた。だから何が起こるか分からないのだ。高山病は体調によって、発症したり発症しなかったりもする。だからこそ心配になってもしまうのだ。
「ま、とりあえずツアー会社、巡ってみようか?」
「だね。値段とか確認しないと。」
ウユニ塩湖ツアーについては、何かと悪い噂を聞く。細かいことは気にしていなかったが、おそらく約束した通りにツアーが催行されなかったのだろう。
想定外の出費、ホテルの変更、食事の質・・・、私はそれほどこだわりもないので、悪い噂の詳細まで聞いたりはしなかった。それでも、いざツアーに参加するかもしれないとなると気になる。果たしてツアーは本当に楽しめるのだろうか。
ボリビアと看板の出ている全ての代理店を訪れて内容を聞く。
どこも訪れる場所は同じだ。違うのは値段だけ。
a.「45,000ペソか、100ドル。国立公園入場料など別途。」
b.「50,000ペソか、100ドル。国立公園入場料など別途。」複数社あり。ホテルも色々。
c.「50,000ペソか、100ドル。塩ホテル。国立公園入場料など全て込み。」
d.「50,000ペソでドル払いは不可。塩ホテル。国立公園入場料など別途。」
e.「50,000ペソか、115ドル(適正レート)。国立公園入場料、ホテルは別途料金で選択。」
おそらく普段なら値段に差はないのではないだろうか。
今はドルが急落して、ドル建てとペソ建てで金額が違っていたりとおかしなことが多い。少し前までドル建てでは、80〜90ドルだったとも聞く。ペソ建ての金額は変わらないが、ドル建ての金額だけ上昇しているのだろうか。
どこのツアーでも利用する車はトヨタのランドクルーザーだ。型によって多少は異なるだろうが、大差はない。そうすると、あとは評判と値段、そして、代理店の印象になってくる。
キーボーと、そして、一緒に行くことになったエミさんと3人で話す。
「まぁ、どこでも良いけど、宿の近く(c)が良いかな〜。」
「そこか、安かったとこ(a)かね。」
「宿の近く(c)は人も良かったね。」
「ところで、宿の近くって、クレジットカードで払えたっけ?」
「聞きに行ってみようか。」
「アタカマでは無理だけど、ウユニに着けば大丈夫だよ。」
「えっ、後払いで大丈夫なの?」
「ウユニで払うこともできますよ。」
3人で顔をあわせる。
一様に驚きの表情。今までこんなツアーに参加したことはない。少なくとも半額の前払いなどが常識であると思っていた。
「後払いでいいなら、何かあっても大丈夫だね。」
「もういっか、条件も良いしここにしようか。」
「じゃ、条件だけもう1回確認して決めよう。」
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