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ソコトラ島(スコトラ島)について】

エメン共和国にあるソコトラ島は、過酷なアフリカ的な自然と、中東的な文化を持っている島である。

「バオバブの木」や「竜血樹」といった植物を中心に、美しい海や荒々しい山の姿も堪能できる。
まだまだ、イエメン自体にも観光客が多いとは言えず、ソコトラ島は特に旅行者が少ない。
島内の公共交通機関も貧弱であり、車をチャーターしないとスムーズな観光は望めないなど不便もあるが、キャンプ生活など普段とは違った旅行を堪能できる。


イエメンの都会アデン(かつての南イエメンの首都)の東方沖約900km、アデン湾の入り口に近いインド洋上にある。
「アフリカの角」東端のソマリアのアシール岬の東北東沖約240kmに位置する軍事的要衝で、イエメンの海軍施設がおかれている。中心は北岸の町ハディーボ(タムリダ)。島民の多くがヤギや牛を飼育している。面積は3110km2。人口は約2万人。


【準備】
 ・航空券(片道80USD、往復160USD。サナア発は週1便。アデン発の利用も悪くない。)
 ・食料(ソコトラ島は品物が少ない。値段が高い。)
 ・乾燥対策(アラビア半島と同じ。)
 ・キャンプ道具(ツアーなら貸し出してくれるが、質を確認したほうが良い。)
 ・水着
 ・ウエットティッシュやトイレットペーパー(キャンプをするなら特に。)

【ツアー】
 YEMEN HOLIDAY TOURS の、アミン氏を通して手配。
  英語版のホームページもあるようだが、サナア現地での手配も簡単。場所は、タフリール広場から、アル・ナスル・ホテルのある旧市街入り口に向かい、道なりに100m強進むと左手(日本語で高い位置に看板が出ている)にある。オフィスという感じではなく、一般の家屋の鉄の扉に「AMIN」と書いてある。
 ちょっと「うさんくさい」印象を持つ人も多いが、ツアーは順調に進んだ。テントがおんぼろだったという以外は、問題はなかったのでお勧めかも。ちなみに、アミン氏は面白くない冗談を言うことがあるので無視してOK(笑)。

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ソコトラ島へ。(アデン-ソコトラ島)

朝早く起きる。
今日は目覚まし時計が2つあるので、とてもラクチンだ。シュウくんの時計と、アラタさんの時計。やはり、目覚まし時計があるというのは、安心感がある。

朝食にラーメンを食べ、タクシーをつかまえて空港に向かう。
アデンの町(クレーター)から空港までは、約10分ほどとのことだったが、500YRと物価にしては高い値段だった。それ以上は値切れなかったが、それが相場なのだろうか。

空港でチェックインを済ませ、すぐに待合室に入る。
特に何もすることもない小さい空港だ。国際線も飛んでいるらしく、イミグレーションなどの設備も整っている。もっとも、それらの窓口には今は誰もいないので、国際線の便数はとても少ないのだろう。

飛行機まではバスで行き、乗り込む。
横3列が2つ並ぶタイプの飛行機だった。意外ときれいなので安心する。
アデンからソコトラ島までは、ダイレクトで飛ぶわけではなく、リヤンという町を経由する。多くの乗客はリヤンで降りてしまい、少ない乗客だけがソコトラ島を目指す。

私たちの他には、観光客と思しき姿は見えない。そもそもアデンにも観光客は少なかった(というか、見なかった)からそれも当然だろうか。このモンスーンの時期には、ソコトラ島に向かう観光客そのもの少ないのだろう。それに、少ない観光客の多くは、サナアから直接飛ぶのだろうから。

ソコトラ島の空港は小さかった。
予想通りというべきか、エジプトのアブ・シンベル神殿の空港と同じように、広場に滑走路があり、建物が1つ立っているというたたずまい。
ソコトラ島を訪れると最初に考えた時には、リゾートライフを想像していたが、やはりそんなことはないようだ。

現地の担当者が迎えに来てくれていた。
他の待合客は外で待っているというのに、荷物受け取り場所まで入ってきて待っているというのは、コネか何かがあるのだろうか。

荷物を受け取り、車まで行く。
旧型のランドクルーザーだが、3人だけなのでとても快適に島を回ることができそう。バッグを積んで、食料品を積み、さらに水のボトルを買い込む。

島に着いてから、すぐに「バオバブの木」と「竜血樹」に出会う。
「あったぁ〜、ストップストップ!!」
車を停めて写真を撮る。
「この島結構凄いんじゃない!?」
「いやぁ〜、いいね〜!!」
気分も盛り上がり、ソコトラ島に期待を膨らませた。

レストランで昼食をとったが、早速にソコトラ島の洗礼を受ける。単なるボッタクリなのだが「料理がいくら」ではなく、「1人いくら」とか言っている。ちゃんと数えなおしてもらうために、他の人を呼んで、約半額になって納得がいく。
最初に言っていた値段とレジでの値段が違うとか、そこまでいい加減なことはやめてほしいと思う。

食事をしているうちに、運転手がマットレスと枕を持ってきてくれた。これで準備万端。ツアーに出発だ!!

●砂だらけの夜。(ソコトラ島)

まずはディ・ハムリに行く。ビーチで泳げる場所だ。

幹線道路を東に進み、途中で舗装されていない横道に入る。ソコトラ島は幹線道路だけが舗装され、他の通りは砂や岩などが転がる通りになっている。山を越える通りなどは、とてもきれいに舗装されているのだが、それらは新しくできたもののように見える。

この時期はモンスーンで、場所によっては波がとても高い。
起伏の激しい道を、車でビーチの近くまで行く。ランドクルーザーならではの道のりだ。
風が強いビーチで、貝殻を拾ったり、泳いだりする。
汗が落ちて、多少さっぱりした感じだが、やはり髪の毛だけは嫌な感じ・・・(笑)。

「ここでキャンプだ。」
アブドゥルという運転手が言う。
私たちの予定表では、カランシアという場所がキャンプ地だったので、そちらに向かってもらう。もっとも3人とも、ディクソンという山以外には詳しいことを知らない。だから、ともかく島のあちこちに行きたいというだけなのだ。

カランシアには戦車がたくさん打ち捨てられていた。
それとも、威嚇のために海に向けて放置してあるのだろうか。この島でも戦争があったのか、そんな風に考えると、本当に人間はどこでも戦っていたのだと納得する。

ランクルが、そのままカランシアの丘に登ってくれた。
遠浅で、薄く青い海が広がる姿はとてもきれい。これがモンスーンでなければ、砂も舞い上がることなく、もっと青いきれいな海なのだろう。

「あっちの方が風が少ないので移動しましょう。」
車の止められた場所でテントを張ろうとしていたのだが、余りにも風が強すぎて移動することにする。
「このままテント持って行きますか。」
アブドゥルがテント以外の荷物を、車に乗せて運んでくれる。
「風、強いですね〜。」

「あれっ。ここも風があるなぁ。さっき偵察に来た時には風はなかったのに。」
「まぁ、テント張っちゃいましょう。」
車を移動してもらい、少しでも風を避けるようにする。

そしてすぐに問題が発覚!!
テントのポールが1本つながっていなかったのだ。普通は、何本かのポールがゴムでつながっているのだが、このテントはゴムが切れてポールがバラバラになっている。これでは強風に耐えられない。
「フライとか紐で車に縛っちゃいましょう。」
「大きな石でポールとか押さえて・・・。」
あれやこれやと努力し、ようやく形は整ったが、どうも強度は不安である。

「あっ、サソリだ!!」
小さなサソリが本当に足元にいる。
「殺しちゃいますか?」
「かわいそうだから、どこかに運んで・・・。」
「どうやって?」
木の枝にサソリを乗せ、少し離れた場所に投げ捨てる。
もしかしたら、また、やってくるかもしれないし、他にもサソリがいるかもしれない。こんな場所でキャンプして本当に大丈夫なのだろうか!?

シュウくんのテントを立て、さすがに日本で売られているしっかりした品物は凄いと、皆で感じ入ってしまう(笑)。
それにしても、壊れたテントを貸し出すとはイエメンではこれくらいの壊れはまだ「許容範囲」ということだろうか。もう1つ貸し出し用のテントがあり、そちらは「壊れている」と言っていたが、もっと壊れているのだろうか・・・。

買ってきたパンを広げ、野菜を切る。そして、缶詰を開ける。
それで、サンドウィッチを作り、夕食をとる。なかなか充実しているのだが、強風により砂が飛んでくるのが凄い。食後もそのまま星空を眺めていたのだが、ついに限界に来る。
「テントに入りましょうか?」
皆がもぞもぞと動き出す。
「うわぁ〜、砂だらけだぁ〜!!」
「とりあえず、マットレス逆さにしましょう(笑)。」
「ほんとに砂だらけだ。大丈夫かなぁ・・・。」

「うわぁ〜、風が凄い。支えないと・・・。」
テントを支えないと、すぐにポールが曲がり壁と天井の部分が落ちてきてしまう。
アラタさんと私とで、支えながら風をやり過ごす。
「これを、朝まで??」
「う〜ん。」
「あっ、また風が!!」
テントをバタバタと揺らし、周囲の草木も物凄い音を立ててゆれている。
「あれっ?ポールがないぞ??」
今まで支えていたポールが、テントの内側から触れなくなってしまった。
「どうなったのかな?また、フライが取れちゃったのかな?」
外に出てみると・・・。
「ああぁ〜、ポールがバラバラになってる。」
「もう諦めましょう。テント片付けて、車で・・・。」
テントを片付けるのも一仕事だった。あちこちを縛って補強していたので、簡単にははずせないのだ。もう眠たいというのに時間をかけ、たたむ。そして上に大きな石をいくつか載せて、風に飛ばされないと安心してから車に入る。
シュウくんのテントは大丈夫そうなので、私とアラタさんの2人だけが車に入る。車で寝られるのはせいぜい2人までだから、シュウくんのテントがしっかりしていて良かった。
「砂が来ないのは良いけれど、車の中は暑いですね・・・。」
「窓開けましょうか?」
「取りあえず風下だけ。」
そのまま寝込もうとするがやはり暑い。
「風上も開けないと寝れないですね〜。」
「窓は高い位置だから、砂は入ってこないんじゃないですか?」
「開けましょう!!」
窓を開けると、風通しが良くなり、幾分快適になる。
「う〜ん、これなら寝られるかな。」

強風が吹き、木々の音がなっている。
「うわぁ〜、また砂が・・・。閉めたほうが良いかな?」
閉めてみたもののやはり暑くて眠れそうにもない。
再び窓を開ける。
その戦いを何度か繰り返したうちに諦めが心を支配する。
「もう砂は仕方ないですね。」

寝苦しい夜を越え、朝に目が覚めると、シュウくんはすでに起きて動き回っていた。
私は顔も服も、とにかく体中が砂にまみれていた。耳をかくと、砂が出てくる。目も口も砂っぽくて気持ちが悪い。こんな過酷な生活が3日も続くのだろうか。正直、我慢できないかもしれないと思った。
「今夜は砂のない場所で寝ようよ。」
「洞窟とかがいいね。」
「いい場所があったら停車してもらって。」

本当に、寝苦しい夜だったが、ともかくそうして1日を越えた。

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ミニコラム

++ソコトラ島++

物価はイエメン本土より高い。

水1本 50YR
缶ジュース
 (350ml)  70YR
 (250ml)  50YR
その他、全てが2〜3割高い。缶詰はそこそこ種類もある。ヌードルも1軒に置いてあった。

スーパーはなく、ATMはおろか、ネット屋さんや、電話屋さんも見当たらない。








ミニコラム

++飛行機++

サナア発 
  週1便 金曜日

アデン発
  週1便 月曜日

どちらも、リヤン経由。そんなに待ち時間はない。







ミニコラム

++ソコトラ空港++

特に何もない。
両替所もなかったと思われる。

島内で最も大きいハディボには、両替所があり、レートもサナアなどと同じ。








ミニコラム

++ホテル++

何軒かあるが、値段は高い。値引き交渉をがんばる必要あり。
ローシーズンなら値引き可能と思うが、ホテルが少ないので、どこまで頑張れるか・・・。









ミニコラム

++移動手段++

ダッバーブも走っているようだが、本数はごく少ない。

島民はヒッチハイクをしている。しかし、これも田舎に行くと交通量がかなり少ないので難しいかも。

島内を周遊して観光する場合には、ランクル・チャーターがお手軽。ランクル、少なくとも4WD車でないと、走れない場所があるので観光ができない。








ミニコラム

++モンスーン++

モンスーンの時期には、風がとても強い。
砂浜で寝ようものなら、とてつもない砂に襲われるので覚悟が必要。

その時期は、山で寝るのが1番良い。山岳部は標高1000mを越え、海沿いの町に比べるとだいぶ涼しい。

※モンスーンの時期でも、雨はほとんど降らない。

 

●山で過ごす夜。(ソコトラ島)

カランシアから山を上り、車は段々と涼しい場所に行く。
竜血樹がたくさん生えており、それらの場所をどんどん掻き分けるように進んでいく。途中、洞窟など見当たらないうちに目的地に到着した。風通しもよく、砂も飛ばない、崖を見下ろすような景色も素晴らしい。

すぐに納得し、荷物を降ろして散歩に行く。
獣道などを歩き、竜血樹の群生する場所に着いた。

竜血樹の姿は印象的だ。太い幹の途中まで、枝葉は全くない。そして、ある一定の高さまでくると、急にたくさんの枝が半円形にニョキニョキと伸び、半円形に伸びた枝の先から針葉樹のような葉が伸びている。ボールを逆さまにして、太い木の上に乗せたように見える。

稀に太い幹が途中から2本に分かれている竜血樹があり、そこに登って記念撮影を撮る。
100mどころではない切り立った崖の下には、かつては川が流れていたのだろう。いくつかの小さな池が見え、雨季にここを訪れたら緑の美しさに圧倒させられそう。崖の上にはたくさんの竜血樹、そしてアカシアの低木などが広がる。
ハゲタカのような大きな鳥が、崖の上の風に乗って気持ちよさそうに飛んでいる。その姿を見ていると、自由そうでいいなぁ、なんて単純な憧れを持ってしまう。食べ物も少ないだろうし、この地で生きていくのは過酷だろうが。

ヤギの群れや、羊の群れが勝手に歩いている。
追いかける人が居ないのが不思議だが、それ以上に、羊が1列になって村のほうに向かっていく姿は、とてもかわいらしかった。
村の子供も、珍しいものを見つけたかのように私たちをじっと見ている。キャンプをする旅行者がまだそれほど多くはないのだろうか。

夜まで散策し、キャンプ地を探し、いつの間にか時間は過ぎる。
高地なので幾分涼しいので、風の少ない場所を探す。岩と岩の間の心地良さげな場所を見つけたが、そこにはヤギなどの糞がたくさんおちていた。

「乾燥してるから片付けちゃいましょう。」
棒などで糞を目につかない場所に運んでいく。随分たくさんの糞があり、ちょっと気分は悪いが仕方がない。

「テントいらないかな?」
オンボロのテントを張るのも面倒なので、そのまま寝てしまうことを考える。
すると、シュウくんもテントを張るのを止めてしまう。
皆でゴザの上にマットレスを敷き、そのまま寝てしまう。夜になって涼しくなると、テントのフライなどをお腹にかける。

キャンプファイヤーをするが、風が強くかなりの火力になってしまう。
乾燥していることもあり、山火事が恐ろしいので日をなるべく小さくする。
竜血樹は、枝の中身が中空になっており、糸瓜(へちま)のような繊維質が詰まっている。
「これで水を蓄えているんだね。」
「よく、さっきはこんな枝に登ってたね〜。危ない危ない。」
乾燥した竜血樹の枝はよく燃える。竜血樹でキャンプファイアーだなんて、贅沢というかもったいない感じもする。その日は火をおこしただけで、お湯を沸かすでもなく火の美しさを堪能した。

(う〜ん、ちょうど良い。)
昨夜の砂まみれの夜が過酷だっただけに、快適な温度で砂にまみれずに寝られる幸せを満喫する。
既に昨夜、髪の毛の間に入り込んだ砂のせいで、髪の毛は気持ちが悪いくらいに硬くなっている。それを忘れれば、本当に全てが快適である。
「明日は海で髪を洗うぞ〜、川で髪を洗うぞ〜。」
そんな希望を言いつつ、星空を眺めて眠りについた。

朝起きると大きな牛が近くにいた。
踏まれたらと思うと恐ろしいけれど、本当に動物と人間が共存しているようだ。



●川べりで過ごす夜。(ソコトラ島)

ソコトラ島の南の白い砂のビーチに行く。
余りの日差しに身体が焼け付くようだが、休憩後に海で泳ぐ。
強風で荒れた海は、本当に高い波が踊っている。サーファーならば喜ぶほどの波だ。

遠浅の海に身体を浸け、少しずつ歩いていくが、勢いのある波で恐ろしさを感じる。
波が引く時に、身体も海のほうに凄い力で引き寄せられる。
泳ぐというよりは波と戦う。それでも暑い時間に海で遊ぶのは身体も冷えて気持ちが良い。海水には砂が舞っているが、砂以外の汚れはない。季節によっては、白い砂浜と青い空、透明な海、リゾートライフが楽しめるだろう。

時代に忘れ去られたかのようなわらぶき小屋でさらに休憩を取り、覗きに来た地元の子供たちを眺める。彼らの過酷な現実は、私の視線を通した夢のものだろうか。それとも、彼らもこのソコトラ島での生活を過酷なものと受け止めているのだろうか。

余りにも暑いのと、初日のような砂だらけになることを恐れ、山でキャンプをしようということになる。
「水を買いに行こう。」
水の残りが少なくなり、お店を探すように運転手に言う。
「水がほしいのでお店に行きたい。」
「ここの町の水は売り切れだった。」
「では他の町のお店に。」
「ここの町の水は売り切れだよ。」
運転手はほとんど英語を話せないので、会話は全くトンチンカンだ。どうも運転手の察しも悪すぎるというか、私たちが何を必要としているのかが想像できないのだろうか。

ともかく、マーケットのあるハディボに向かう。山を越え、島の北側に出ることになるが仕方がない。水を買い揃え、今晩のキャンプ地について話す。
「川のある場所が良いね。」
「川なんてあるのかなぁ〜?」
「川に行きたいです。リバー、リバーね!!」
運転手はその意味が分からないようだ。
「レバー?」
アラタさんが、身振りで説明をしているが通じない。
シュウくんが「指差し会話帳」で説明しようやく意味が通じたようだ。
川の場所には自信があるようで、笑顔になった。

「ナハル(アラビア語で川)は、英語ではなんていうんだ?」
「RIVER!」
「リバー、リバー! 日本語では?」
「か・わ!!」
「かわ、かわ!!」

町から程近い場所で幹線を離れ、乾燥したアカシア樹林を進む。
背が低く、1mほどしかない姿は島じゅう同じだ。昨日訪れた山の上のほうにあった竜血樹だけが、大きくそびえ、唯一の大きな樹木だった。

※水溜りで「頭を洗う」の図。原始的だぁ・・・(笑)。

荒地を随分進むと、川の跡のような場所に出た。
「水はあるのかな?」
「見に行ってみよう。」
運転手も水を探しに歩き出す。
雨季にはきれいな水が流れているのだろう。水が流れた跡が白い線となって、岩や石に残り、水のある過去を思い出させてくれるようだ。
川底にあった石は黒っぽく、青っぽい色をしている。丘にあった石は、ピンク色か白い色をしている。同じ石だろうになぜそうなるのだろう。石の赤さは、鉄分によるものだろうか?水中にあったことで、酸化に違いがあるのだろうか・・・。

ピンク色の空間に包まれ、かつて川が流れていた場所に立つ。
周囲の切り立った崖や山々が視界を覆い、後ろでは砂浜が遠くに見える。

上流に300mほど行くと、大きな水溜りが見つかった。
きれいな水の中には、魚やカニも凄んでいる。水面には、虫が行き交っている。アメンボとは違う虫が水面を動き回る姿は、どこか日本から遠くにやってきたことを思い出させてくれる。
「まぁ、ここで身体が洗えるかな?」
そんな風に眺め、あとで戻ってくる。
石鹸などを使うと、生物が死んでしまいそうなので、身体を浸け砂を落とす。
そして、髪の毛を水に浸け、バシャバシャすすぐ。砂が落ちただけで、サッパリした感じはあるが、汚れた髪の毛は手櫛を受付もしない。

火を焚きお湯を沸かし、ラーメンを食べる。
キャンプで、初めての温かいメニューだ。サンドウィッチとともに頬張り、満足して横になる。横になって雑談をしながら夜は更けていく。

寝付こうとする頃から、風が強くなってくる。
風がないと暑いだろう。風がありすぎるのも落ち着かない。
初日のような不快さはないが、なかなか寝付けない。強風が木々の葉を揺らし、幾分かの砂を巻き上げる。時折、小石が飛んでくるのもご愛嬌か。
それでも、体勢を変え、あれこれしているうちに眠りに落ちていく。

朝目覚めると日差しが身体を焼いていた。
寝ぼけ眼でマットレスを取り、日陰に移動する。平らではなかったが、もう移動するのに飽き、そのまま眠り込んでしまう。
(ああ、なんていい加減なんだろう・・・。)
(これでもいいんだぁ・・・。)

9時、運転手は時間通りにやってきた。
イエメン人でもあるし、多少遅れることを覚悟していたのに嬉しい誤算。
もう荷物は片付けておいたので、すぐに積み込み町に向かう。

これで、ソコトラ島のキャンプ生活も終わり。
過酷ながらも楽しいキャンプだった。でも、身体は疲れている。いったいどんなホテルに泊まることになるだろう。

水はちゃんとあるのだろうか・・・。

ファンはちゃんとあるのだろうか・・・。

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●快適空間、天国のようなホテル。(ソコトラ島)

「どこのホテルに行くんだろうね?」
「そんなに良いホテルじゃないよね〜?」
運転手が振り返って聞いてくる。
「どこに行くの?」
今朝から運転手が代わったのだが、その辺の引継ぎは全く行われていないようだ。
(ええ〜。それくらいは、知っておいてほしいなぁ・・・。)
「アブドゥル(昨日までの運転手)、ムハンマド(空港に迎えに来た人)!!」
彼は、それで納得したのか、ムハンマドのいる場所に向かう。
ムハンマドが運転手にあれこれと説明し、車はようやくホテルに向け出発。
(ホテルくらい最初から運転手に説明しておいてくれよ〜。)

ホテルは看板はないが清潔で新しい。
ロビーに入るとひんやり涼しく、外の暑さからは隔絶されている。

部屋は広く、エアコンがあり(!)、冷蔵庫があり(!)、TVには衛星放送で200チャンネルほどの番組が放送されており(!)とても快適な空間。本当に想像以上だ。

「先にシャワー入りますよ〜。」
シュウくんが入る。
しばらくしてサッパリした表情で出てくる。
「いやぁ〜、水があるっていいっすね〜!!」
私もすぐに入る。服を洗ったが、汚れで茶色い水になってしまう。
髪の毛を洗うが、1回目は泡立たない。
身体をごしごしと洗い、キャンプ生活での垢を落とす。
私にとっての現実世界に帰ってきたかのよう。現実生活から数日間離れ、マゾ的に苦しい生活を楽しむ。これこそ、贅沢というものだろうか。

町で水とジュースを買う。
日中の暑さのためか、多くの商店は青い扉を閉めてしまっている。
ドライヤーから出てきたような熱風と、太陽からの灼熱の光線を受け、現実世界にもきつい現実が待ち受けていたと思い出す。
ここはアラビア半島とアフリカ大陸の境目のような場所。これからも、暑い日差しと戦っていかなくてはならない。

よし、ソコトラ島を出てエチオピアに向かう気力が・・・、いや、まだ沸いてこない(笑)。もう少しだけホテルで身体を休め、気力を充実させ、きついと言われるエチオピアに出発なのだ!!

●過酷な環境。(ソコトラ島)

ハディボの海から、ホテルに帰ろうとして歩いて時のこと、子猫を見つけた。
まだ産まれたばかりの子猫で、まともに歩くこともできない。目も見えていないようだ。

親猫がちょうど去っていくところだった。
きっと子猫のために自分が栄養を取るべく、食べ物を探しに行ったのだろう。黒い子猫と、黒いトラ模様の子猫。もしかしたら他にもいたのかもしれない。
この乾燥し、食べ物もなかなか見つからないような場所で、親猫はどうやって子猫を育てていくのだろう。ヤギは草を食べつくし、白い紙をお話の中のようにモグモグ食べる。羊や牛も、残り少ない緑を捜し歩いて食べ、何とか生き抜いているように見える。

水のない山間部では、貴重な水ゆえに人間も身体を洗ってもいない。
川は枯れ、緑はしなび、山肌は茶色に染まっている。全てが乾燥し、この島自体が過酷な乾燥した環境だ。この地に住むということは、日本の島に住むこととはわけが違う。大陸は遠く、水は不足し、野菜類も運んでこなくてはならないだろう。市場で卵を探したが、結局見つからなかった。

このような過酷な島に住むことについて、彼らは過酷だと思っているのだろうか、過酷だと感じているのだろうか。
私には想像もつかないけれど、ソコトラ島に産まれれば、ソコトラ島の自然が、もっとも安心できる原風景となるのだろうか。おそらくそうなのだろうと思いたい。
私が緑の山を見て安心し、清流を見て心を和まさせられるのは、見慣れている風景だから?? もし、そうでないとすれば、ソコトラ島民が日本の風景を見た時に、やはり心和むのだろうか。

観想と戦うのは大変なことだ。
飲み水から始まり、洗濯、シャワー、生きるためには水がいる。もちろん洗濯やシャワーなどはなくても生きていけるけれど、飲み水がなくては始まらない。動物も、植物も、全てそれは同じ。
あちこちに貯水槽が見られるが、それも限られたもので、島が乾燥していることに変わりはない。

洗濯物を干しておけば、たった30分や1時間でほとんどが乾く。
そんな世界に生きている人間は、もちろん同様に空気中に水分を取られているのだろう。恐ろしい世界だ。そして、恐ろしい世界に住んでいる人々を凄いと思う。

世界中、極地を除けばどんな場所にも人が住んでいる。
人間は1人1人では生命力は弱そうだが、種としては本当に生命力が強いようだ。

●ツアーについて。(ソコトラ島)

全体に特に大きな問題もなく、順調だったのでアミンさんのコーディネートは問題ないというところ。

気になったいくつかの些細な点は下記の通り。
・借りたテントがぼろぼろ。
 →日本では使用限界を越えて捨てられているだろう。
・運転手が英語を理解しない。
 →これは止むを得ないか!?
・運転手にツアーの詳細が伝わっていない。
 →最終日はホテル宿泊予定だったが、どこのホテルに行くかを知らなかった。
・ホテルに詳細が伝わっていない。
 →ホテルの宿泊はツアー代金に含まれているが、ホテルから直接に宿代の請求をされた(結果としては問題なし)。

他に全般で感じたことは・・・。
・飛行機のチケットも問題なし。
・現地の空港への出迎えも問題なし。
・チャーターしたランクルも問題なし。
・運転手の人柄も問題なし。

ソコトラ島全般について。
・可能ならモンスーン以外の時期に訪れたほうが良いかも。
・ソコトラ島の山岳部にあるディクソンは、見晴らしもよく本当に良かった。竜血樹やバオバブの木もたくさんある。
・レストランは、ぼったくりのお店があるので注意したほうが良い。
・マーケットなどでは高いことを言われることはほとんどない(元値が少し高いが)。
・ソコトラ島に来たらキャンプがお勧め。でも、ホテルに泊まって通うこともどこでも可能。1人ならホテルの方が心地よく眠れそう。

私は飛行機代を払っても、ソコトラ島に行った価値はあった!!

●ソコトラ島脱出。(ソコトラ島-サナア)

朝も早い6時に起きる。
今日も目覚まし時計があるから安心だ。

同室のシュウくんの目覚ましが鳴り、まだ眠たいながらも、久しぶりのベッドで快眠した私が目覚める。特に大きすぎる音でもなく、目が覚めないこともないくらいの音量。アザーンよりは、よほど快適な目覚まし音だ。隣のベッドで寝ていたシュウくんは、既に起きてきたようで立ち上がっている。

荷網の片付けはほぼ終わってるので、特にすることもない。
ベッドの脇で毛布にからまっていたズボンをはき、顔を洗って落ち着く。

7時頃、部屋を出てロビーに行く。
約束の7時に来ていたようで、イエメン人の意外な時間の正確さに驚く。昨朝も同様で、今朝とは違う運転手ながらも約束の9時きっかりに車が登場したのには驚かされた。3人とも30分は待つことを覚悟していたのだ。

そのままランクルは空港に向かう。
「ねぇ、朝食はどうするのかな?」
「まぁ、どうでもいいかなぁ・・・。」
確かに旅程表にも、ちゃんと最終日の朝食は含まれるとも書いてあるし、初めの話でもそういうことになっていた。でも、ソコトラ島で朝食を食べてもおいしとも思えなかったのし、早く空港に行ってチェックインを済ませたかった。
「わたし、聞いていい?」
「聞いてみれば?」
運転手さんのほうに手を伸ばし、ストレートに質問する。
「朝食はどうなったんですか?」
「朝食食べてないのか?」
「だって、ここに朝食付って書いてあるでしょ。」
「・・・。分かった。今から行く。」
車は急に転回し、今来た道を戻り始める。
(さっさと空港に行きたいけれど、まぁ仕方ないか・・・。)

「昨夜も話したのに、こういう知らん振り気分悪いよね〜。」
確かに昨夜も、このムハンマドという男に同じことを話したのだ。忘れてしまっているのか、それとも、わざとなのか!?
レストランの前での会話では、シュウくんも朝食はどうでもよいようだ。
「えっ?2人は食べないの〜?」
「オレはいいや。」
そう言った後にシュウくんも続く。
「オレもいいです。」

空港に着くと、1つしかないチェックイン・カウンターにイエメン人が群がっている。やはり列を作ることを知らないようで、滅茶苦茶に人が集まっている。
その砂糖にたかる虫のような人だかりを見て、朝から気分が悪くなる。人ごみを掻き分けるようにして、カウンターに辿り着き、無事にボーディング・カードを受け取る。機内預けの荷物を預けるのも一苦労だったが、それもまぁ仕方がない。

飛行機がそろそろと動き出す。

ウォーッ!!
ヒョーッ!!

後部座席のほうで変な叫び声たちが聞こえる。
それも1つや2つではない。周辺でもキョロキョロしているイエメン人が多い。

飛行機が加速する。

ハァーッ!!ウゥーッ!!
アァーッ!!

後部座席のほうでまたもや変な叫び声たちが聞こえる。
後ろのほうでは何か遊んでいる人たちがいるのだろうか。

飛行機がフワッと浮き上がり、また少しだけ下落する際に一時的に浮き上がるようになる。その感覚は、落下するかのようで私も好きではない。ジェットコースターのような、予定調和的な怖さではあるのだが、三半規管で感じる「怖さ」というのは苦手だ。

ウォーッ!!
セェーッ!!
ハァーッ!!

大きな声が上がっている。
その後、着陸までなにかあるたびに後部座席などから反応が湧き上がった。
どうも、思うに飛行機に初めて乗ったので興奮して、また、驚いていたのだろう。とても新鮮に感じ、また、自分が初めて飛行機に乗った海外旅行を思い出した。

雨季のダッカ空港(バングラディッシュ)は、まるで湖に浮いているかのように見えた。周辺は水没し、高く作られた道だけがどこかに伸びている景色を見て、乗客の多くが不安に思ったのだろう。
ましてや、私たちが乗っている機体はビーマン・バングラディッシュ航空のものである。評判も良いとは言えず、機体も明らかに古い。その日の出発も半日遅れたために、成田空港近くのホテルで待たされていた。ホテルでは食事も付いた。最安値のビーマン・バングラディッシュ航空がここまでサービスしてくれて黒字になるのかという、乗客としてはどうでも良いような疑問も浮かんでくる。
ダッカ着時に乗っていた乗客の多くは、経由地であるシンガポール(経由していた時期があった)、バンコクから乗り込んできた者が多い。

窓から見える風景は、大雨、洪水、それだけだ。
そんな不安感からか、着陸前には緊張感が漂う。

無事に着陸し減速し始めると、どこからともなく拍手が。万雷の拍手が機内を響かせ、私も嬉しくて拍手をした。飛行機内で大拍手を経験したのは、後にも先にもその時だけだ。
予定通りにリヤンを経由し、サナアを目指す。
アデンから来た時には、乗客のほとんどがリヤンで降りてしまったが、今日は余り降りる人がいない。さすがに週1便で首都と田舎を結ぶ便だということだろう。ソコトラ島に船で行くならば、10時間どころではないだろう。そう思うと飛行機のありがたみもひとしおだ。

空港からサナア市内へは、カイロからイエメンに降り立った時と同じ道のり。
ダッバーブに乗り込み、乗り換えをしてタハリール広場を目指す。

●都会に見えるサナア。

ソコトラ島から帰ってきた。

アミンさんから借りていたテントを返しに行く。
実質的にテントとしては全く利用もしていないし、役にもたたなかった。わざわざ返しに行くのも面倒な気がするが、ここは当然行かないとならない。
(テントのチェックでも始められたら面倒だなぁ〜。)
(早くご飯食べに行きたいもんなぁ〜。)

アラタさんが返しに行き、私とシュウくんは扉の外で待つ。
皆で行って出づらくなってしまうのも嫌だし、「AMIN」とだけ書かれた赤茶けた鉄製の扉の外で待つ。

食事をする場所もたくさんある。
お店もたくさん並んでいる。今日は金曜日なので、お昼の今頃の時間はモスクにお祈りに行く店主が多い。そういうわけで、一時閉店しているお店も多い。それでも栄えている、人が多い、活気がある、そう感じるのは、ここ数日間のソコトラ島生活のためだろう。

ネットカフェに5日ぶりに行く。
メールチェック、SKYPE、mixi、ホームページの更新・・・なんだか分からないがすることはたくさんある。
ネットに縛られているような、ネットで楽しませてもらっているような。ともかくは、しなくてはならないことをこなしていく。
それにしても、こんなに回線が遅いながらもネットができることは嬉しい。ネットが生活の、いや、旅生活の一部になっていると実感。

都会万歳!!(笑)

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